土葬ではなく火葬を
 日本の土壌は、排気ガスが原因とされる酸性雨の影響や火山国という土地柄、火山灰の多い土壌のため、特別な地域(貝塚など)を除き、ほとんどが酸性土壌です。そのため動物の遺体、お骨は融けやすく土に還りやすくなっています。(現に日本は他国と比べ、過去の動物や人の遺骨の発掘は極めて少ない国です。)とは言え、遺体やお骨が土に還るまで20年以上はかかると言われています。
  このようなことからも、もし土葬をするのであれば、火葬してお骨だけを、自分の所有する土地に火葬してあげることが一番良い方法だと思います。
 しかし、近隣住民の感情や引越しした場合などの問題、また動物が、どう葬られることを望んでいるか?長期的にみたら土葬はどうか?を慎重に考えてみてはいかがでしょうか。
近年、環境問題や公衆衛生等の問題は大きな社会問題となっております。
動物飼育の増加と共に、動物の葬送方法等も注目されるようになってきました。
特に土葬の場合、法的に制限される部分があります。
それらを以下のようにまとめてみました。
 土葬しますと人の数万倍の嗅覚を持つ野生動物に掘り起こされる危険性は極めて高いです。過去、福井県でも何件かそのような例がありました。
 死亡原因によっては感染性の疾病の感染源になることもあり、土の中で何年も生き続けますので、衛生上良くありません。土葬の際の破傷風感染の問題もあります。火葬をするとご遺体に付着した病原菌は、100%死滅します。
 土葬して、周囲に悪臭を発生させたり、水源を汚染させたりすると、民法709条の不法行為責任として損害賠償を請求されることがあります。
 自分の所有する以外の土地で土葬をすれば、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により処罰されることがあります。動物の死体は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」による『廃棄物』に含まれます。同法25条8号は、みだりに廃棄物を捨てることに対しては、5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金を科すことになっています。ですから、動物の死体を無断で公共の土地に土葬することは、これに該当します。
 他人の土地で土葬をしたら、その所有権を侵害したものして、民法709条の不法行為責任として死体の撤去及び損害賠償を請求されることがあります。
 公共の土地で土葬をすると、「軽犯罪法」により処罰されることがあります。軽犯罪法1条27号では『公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚染物又は廃物を捨てた者』は拘留(1日以上30日未満)又は科料(1千円以上1万円未満)に処するとの規定があり、これに触れます。
 ご遺体を川に流す行為も同様に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により懲役又は罰金を科される可能性があります。又、上水道の水源となる河川に動物の遺体を流した場合は、刑法143条の水道汚染罪に該当し、懲役刑に処せられる可能性があります。
 ビニールや合成樹脂、合成繊維など容易に土に分解されないもので、ご遺体を包んでの土葬は避けるべきだと思います。
 土葬により有害な細菌類を死滅させ、無害化が行われているため、感染症その他の疾病の予防効果が得られます。
 火葬により腐敗性(人も動物の死後直後から腐敗が進行します)を有する遺体を無機化し、化学的に安定させ、腐敗現象や悪臭発散、土壌汚染を生じさせないという周辺環境悪化の防止効果が得られます。
 人為的な風化作用が行われ、短時間に骨灰となるので、自然還元速度の短縮化が得られます。
 動物先進国と言われているアメリカの多くの都市では、隣近所の迷惑や公衆衛生上の観点から、庭(自己所有地)への土葬を禁じているとことが多いです。
 生と死の精神的区切りや受容を明確にするためにも、生存の頃の形で土の中で何年も残る土葬よりも、お骨だけになる火葬の方が良いと思います。
 従前から人の火葬率の低かったアメリカやイギリスでも、近年伝染病予防を目的とし火葬は増加傾向にあります。
 史学的に火葬の歴史は、700年に道昭という僧侶が日本で初めて火葬されました(考古学的にはもっと昔です。)日本の火葬の歴史は、約1300年以上あり、家族の一員と呼ばれるようになってきた動物も、火葬してあげることが自然な流れだと思います。
 人の場合ですと土葬は墓地埋葬法により地面下2m以上でないと土葬が出来ません。本来土葬するということは、それくらい厳重な注意が必要です。それに現在、人の土葬は全国で全体の1%にも満たないです。又、日本の火葬率は世界一です。
一級愛玩動物飼養管理士・一級火葬技術管理士 坂川